柔道は危険なスポーツか?

還暦間近の身でありながら、未だ出場できる大会があればできる限り出場している現役選手であり、さいたま市柔道連盟の役員であるという立場から、ここ数年、知人に会う度に「セクハラの方ですか?パワハラの方ですか?」と問われることが多く辟易しております。通常は「両方です。」と躱すことにしておりますが、いずれにしても、糞蠅メディアが「柔道をやっている者はすべて犯罪者」のような報道ばかりしていたので仕方ありますまい。

数年前から柔道が義務教育課程の中で一部必須化されたようですが、それに伴い、メディアがどこそこで事故があったという報道を好んでしている為、「柔道は危険である」との通念ができあがったようです。教育課程で必須化されているにも関わらず、我が国の柔道人口は減少の一途を辿っておりますが、元々「華」の無い種目である上に、「危険だ」という社会通念ができあがり、更にセクハラ問題、パワハラ問題で加速的に人気を失っていったのでしょう。今日は「危険」というポイントで語っていますが、実は競技者人口から割り出すと、陸上や水泳の方が事故率が高いということは意外と知られていません。

学校教育で柔道の事故が発生する最大の理由は指導者の問題です。個々の教員を責めるべきでは無いのですが、現在、体育の教員でそれなりのレベルの柔道経験者はほんの一握りしかいません。これを「柔道をやっているヤツは頭が悪いから教員採用試験に合格できない。」と揶揄する向きもありますが、それはさておき、「体育」と十把一絡げの表現の中、当然ひとつの学校にそれなりのレベルの指導者が存在しなくなるのは当然のことです。そして、そういう学校の授業で柔道をやると、脳震盪や骨折に関わる経験者ならではの知識が無いまま、その防護策を教える前に、生徒の興味を引くために試合形式の授業をやってしまって事故に至った事例は数多発生しております。ましてや、授業回数10回やそこらで、受け身から先のことなどできるわけがありませんから仕方ありますまい。

また、良く「柔道やってる人は受け身が取れるから転んでも痛くないんでしょ?」などと、真剣に言う方がおられますが、受け身とはあくまでも怪我を防ぐもので、痛みは多少和らげられるとはいえ、痛いものなのです。そういった誤解をした無知な指導者が無茶な指導をすれば怪我人が出て当然です。ですから、柔道は危険であるとの認識をお持ちの永田町や霞が関の偉い先生方には、是非「危険であるから、正しい指導者による指導を必須化する」という方向性を打ち出していただきたいものです。結論として申し上げますと・・・柔道は・・・危険なスポーツであります。

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