老いて益々

五十代半ばの身で柔道の埼玉県高段者大会に出場いたしました。四十代にはこの大会と埼玉県道場対抗大会個人の部にはほぼ毎年出場していたのですが、尾籠ながら、痔を患って数年、昨年まで数年間「お休み」しておりました。道場対抗も高段者大会も、概ね同年齢・同段位・同体重の方と、勝っても負けても一試合のみを行う大会で、もともと大選手だった人とかはほぼ出場しておらず、年々精進を重ね、徐々に段位が上がっていった者同士の対戦となります。

全日本高段者大会は五段以上ですが、県の高段者大会は四段から出場できます。私は、平成6年に四段を取得し、その後、これらの大会実績で平成14年には五段昇段の評価点数を取得しておりましたが、段位が欲しくて柔道を続けているわけではないと考え、そのままでおりました。五年ほど前より、五段昇段のお話は頂いておりましたが、「私如きが・・・」と辞退しておりました。しかし、私が昇段しないと、後に続く後輩が昇段しづらい等の事情があり、本年末を以て五段に昇段いたしますので、四段としての大会出場は今年が最後となります。

毎年、この大会に出場している面々は限られており、四段の部でもほぼ同年代といえば5〜6名程度です。何度か同じ方と対戦することになるのも常ですが、私はたまたま間が空いていたりしたので、昨年も今年も、全く初めての方との対戦となりました。(昨年の道場対抗大会では、元々同じ道場に所属してた同輩との対戦でしたが) 高段者であり年配者である者の柔道は怪我をしない・させないことを第一義に置き、相手に失礼な試合をしない・指導者として恥ずかしくない立ち姿勢や礼法を重んじることが第二義となります。つまり、勝ち負けにこだわるのではなく、半ば「模範試合」を行うことに主眼を置きます。

今年のお相手は武里柔道会の師範代、私と同年齢の方でした。組んだ瞬間に、その組み手の柔らかさ、優しさ、そして厳しさから、指導者として優秀な方であることを感じ取れ、せめぎ合いの中でも、優雅な駆け引きをしつつ、結果、私の少々バランスを崩した技が見事に突っ込みどころとなり、そのまま寝技となり押さえ込まれて敗退いたしました。「勝って奢らず・負けて悔やまず」の心地よい試合を今年もできたということを寿ぎ、試合後、お互いの健闘を讃えあえました。こういった試合が出来ること・・・これこそが至福の時そのものでして、願わくは、畳の上で死んでみたいとまで考えております。五輪の時くらいしか柔道を観ていないテレビ桟敷の評論家の皆様に、この境地が理解できるはずがないでしょうが、自らがこの境地に達したこと、そして、四段を「免許」といい、五段をして「免許皆伝」となる柔道のステージを得たことを自慢させていただきます。

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