ド素人は知りもしないで意見するな!

力道山木村政彦氏の因縁に関する本が売れているらしく、全く柔道を知らないはずの方から「当然読んだと思いますが」という前提でコンコンと柔道に関するご意見を諭されました。最初は反論すべきところを反論しておりましたが、やがて馬鹿馬鹿しくなり、「はい、そうですね」だけの受答えを繰り返していたら、最後に「今言ったとおりにちゃんと指導してくださいよ」といったところでそのお話が終わりになりました。

そもそも、私はボランティアで柔道連盟の役員をやり、競技者団体の指導者をしている立場ですし、連盟といっても全日本柔道連盟からみたら孫レベルの郡市の柔道連盟の役員ですので、そんなレベルの人物は日本中に何万人と存在しているはずですから、私がその「全く素人の方」のご意見どおりのことをしたところで、数万分の一の「改革」しかできませんし、その方のご意見は私の考え方と全く違うのでその数万分の一の改革すら行われることはありえません。と言っても漠然としすぎているので、実際のところ箇条書きにして、本質を付記しましょう。
まず、頂戴したご意見を含むお話は
1.柔道着は太古の昔より白であるべきなのに、外圧に負けて青い柔道着が使用されているのはおかしい
2.受身ができるようになれば全く怪我をしないはずなのに事故が「毎日」報道されているのはおかしい
3.柔道家が20人ほどを相手に全員を投げ飛ばして打ち負かした
4.主審と副審の判定が違うのはおかしい
5.国際大会で日本人が全員金メダルをとれないのはおかしい
・・・他にもたくさんありますが、もし、この辺に対して「そうだよね」と思われた方々の為に「本質」をお教えします。
1.そもそも柔道は戦場における甲冑組み手を基にした武術「柔術」の一流派が明治初期に独立し、ルール化されたもので、当初は藍染刺し子入りの上着に袴を身につけるのが正式な装束でした。つまり、太古の昔に柔道なるものは存在しておらず、色のついた試合着にもなんら問題は無いものであります。また、その白を死装束であると仰せの方がおられますが、それは時代劇の見すぎというものです。
2.受身をすると痛くないとか思われるでしょうが、受身は喩えて言うなら100の痛みを70に軽減する程度です。また、怪我の発生率を軽減させるだけです。4階から飛び降りて受身を取ったので無傷でいられたなどという方がおられたら、その方は柔道家ではなく、超能力者であろうと想像します。
3.柔道は1対1の闘いを基本にしています。どんな猛者でも20人の人間に一度にかかられて勝てるわけがありません。そういうことを仰せの方は松平健さんとかシュワちゃんとかの映画を見すぎているのでしょう。
4.見る角度によって技の利き具合が違って見えるのは当然です。もし全員が必ず同じ判定を下すと仰せなら、審判員など一人いれば良いし、そんな簡単に「誰が見ても同じ判定」だったら、試合が終わった瞬間に試合者たち自身が勝ち負けを判断できるはずです。審判員は技の効果の度合いを判断しているのですが、その判定ができるレベルに達するために日々努力をしているので、そこをわからない方にとやかく言われたく無いものです。
5.国際大会で、日本人が金メダルを取れない種目は何十、何百とあります。他国の選手に負けるようになったということはそれだけ他国で柔道が盛んになってきているということで、これは、柔道の国際化という見地から喜ばしいことであります。基礎体力、筋力では人種的には日本人は欧米やアフリカに劣っているのに、頑張っていることを理解していただきたいし、それなら一度も金メダルを取ったことの無い陸上の多くの種目やサッカー等は何故入賞しただけで国民英雄になれるのかの方がよほど疑問です。

と、これらは、ごく一部の話でしかありませんが、同じような認識を持ったメディアのバカ達が世に言う「利いた風な口」を叩くたびに苦々しく思っております。最後に・・・柔道はストリートファイトではなく、れっきとしたスポーツであり、そのルールに従って競技者は闘い、審判員は判定を下しているのです。ド素人にご教示いただくことは何もありませんのであしからず。

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