あざらしカルト

私の住むさいたま市からほど近いところにある荒川縁にあざらしが出現したそうです。何年か前に、「タマちゃん」なるあざらし多摩川に現れ、そこそこ話題になっておりましたが、今回も「あらちゃん」などという名前を付け、多くの人々があざらしウォッチングにお出かけのご様子です。そして遂に行政がそのあざらしに特別な住民票を発給したと、メディアがこれまた微笑ましく報道しております。

何故あざらしが荒川を遡上してきたのかはあまり取り沙汰されていません。以前のタマちゃんの時もそうですが、そこに存在する非日常の生物を「可愛い」とか「愛くるしい」とかいう言葉で、何か良いことがあったような報道だけがされております。学問的には全く専門外なので詳しいことはわかりませんが、温暖化であるとか、震災の影響であるとか、単なる偶然なのかを願わくはメディアの方々にはちゃんと我々庶民が理解できるように説明してくれないかな?・・と思ってしまうのは私だけでしょうか。

件のあざらしは、群れから逸れたものでしょうが、とにかく、今、異郷の地にいるわけです。例えば我々日本人がアマゾンの森林の中に紛れ込んでしまったような心持なのではないでしょうか。それを、我々は、なにやらもてはやしておりますが、当人(あざらし)にとっては、それどころではないところでしょう。

以前に、ペットブームが「お犬様への妙な信仰」に近いと論じたことがありますが、今回も似たり寄ったりです。要するに、非日常に対して、何でも良いから縋りたいという他力本願の愚民がこのあざらしに何かを求めてしまっている・・・単なるカルト的発想に過ぎないでしょう。もし、そのあざらしが少しでも気の毒だと感じるなら、そんな報道もやめ、見に行くこともやめ、そっとしておいてあげようではありませんか。そして、住民票に使用するお金や、あざらしを見物しに行くためのガソリン代を、少しでも東日本大震災の復興に充てるのが、本来の「人として」の最低限の発想であるべきです。

  • *-*-*-*-*-*-*-*-

ブログランキングに参戦中。面白かったと思われたらクリックしてください>>>