烏龍茶とノンアルコールビール

酒を呑む方は世の中の大多数を占めている思われます。古くは「オレの酒が飲めないか!」と叫びつつ、既に酩酊している部下や後輩に無理矢理酒を注ぐ姿、「あの時は酔っ払っていたので」の一言で罵詈雑言を帳消しにしてしまおうとする無礼者を、昨今では少なくなりましたが、駅のホームで小間物屋を開店してしまう連中・・・私のようにアセトアルデヒドを分解する酵素が一般の人と比較すると極端に少ない(医者の証明書付です)人間は、常々それを苦々しく横目で見てきました。煙草呑みは悪とされているのに、酒は何故か許される不思議な傾向であると感じております。

その大多数の呑兵衛達の理論は多々あり、「酒でも呑まなければやっていられない」(じゃあ、呑めないオレはどうすれば良いのでしょうか?)、「酒でも呑まなければ本音で語れない」(じゃあ、貴殿が素面の時は嘘をついておられるのでしょうか?)等々・・・残念ですが、これらの方々は実は全く「酒呑み」ではなく、「アルコール呑み」に過ぎず、お気の毒としか言いようがありませんが「言い訳の為に酒を呑んでいるダメ人間」に過ぎません。そういう方々は、本当のお酒の嗜み方をご存じなく、酔うためだけに呑んでおられるのは、常に素面の私には一目瞭然です。貴殿にとっては「酔っ払っていて覚えていない」ことを素面の私は逐一覚えていることにお気づきになったら如何でしょうか?その「恥ずかしい行為や言動」を黙っていてあげるのも結構辛いものがありますよ。

そうは言っても、「お付き合い」に酒席は欠かせません。尚、ゲッキュウトリ諸兄が縄のれんをくぐって「ブチョーのバカヤロー」と叫んだり部下に「ボクがキミくらいの頃にはねぇ・・」とくだらない話をしたりするのは単なるバカの集いであって、酒席には含めません。私のような「立場のある人間」ともなると、全く呑めないとはいえ、本当の酒席に加わる機会と義務が頻繁に発生します。その席で「全くの下戸でして」からはじまる会話は実に苦労が多く、「じゃあ、烏龍茶を」とか、「折角だからノンアルコールビールを」というオファーをされます。烏龍茶などという、我が国国民の大多数が大陸の偏執国家の飲み物だと信じて止まないマガイモノなどハナから呑みたくない私は、緑茶なり麦茶なりを所望しますが、それが傲慢なようです。つまり、アルコール呑みの方にとっては私は単なる「ノンアルコール呑み」な訳で、何でも喜んで呑むとでも考えておられるのでしょうか。

最近では、ゼロパーセントのノンアルコールビールが出たとのことで、「呑めなくて気の毒だからせめてノンアルコールビールを」とお気遣いいただくことが増えておりますが、そういうお気遣いは一切不要。そういう時は、「煙草を吸わないのはお気の毒ですから禁煙パイポでも如何でしょうか?」と言うようにしております。非喫煙者の方ならご理解いただけるでしょう、別にそんなもの欲しくもなんともないことに。そう、ノンアルコールビールなんざぁそのレベルのものなのですよ。それを呑まない私に奨めるのだけは金輪際お断りしたい・・・と烏龍茶やノンアルコールビールを奨められるたびに「心の中で」叫んでいる日々です。