負け犬万歳!

最近、私が「負け犬商法」と呼んでいるパターンがあります。何らかのハンディキャップを見せておいて、「こんなハンデを乗り越えての・・・」と表現する手法です。市役所のメインホールには障害者の方達がパンやクッキーを販売していることが多々ありますが、これもその一例ですし、ちょっと前に流行った盲目のピアニストや歌手ですとか、乙武さんでしたっけ?・・・五体不満足のベストセラーを出した方とかがおられますね。「オマエは人の心を持っているのか?」と恫喝されるのは覚悟の上で申し上げておりますが、まずは、決してこれらの方々の価値をゼロと言っているのではないことをご理解いただきたい。

ただ、申し訳ありませんが、障害者の方々が作ったパンやクッキーがプロのパン屋さん、お菓子屋さんのものより美味しいはずがありません。それは、我が家の愚妻が作ったとしても当然プロに叶うわけがありません。市役所で、そういった方々をお見かけしたら、ごく僅かではありますが、売り上げに協力させていただいておりますが、それは、私の「偽善」の為せる業であり、そのパンやクッキーが食べたいわけではありません。

実際に五体不満足の方はご苦労されているでしょう。そしてその障害を乗り越え、大変立派な方になられました。全くそのことに異存はありませんが、世の中にはその手法を利用する人がじわじわと増殖していることに気がつかなければいけないと感じたので今日のコメントになったわけです。最近、多くのタレントさんが「子供の頃いじめにあった」「家が貧乏で辛かった」「自殺を考えた」等の発言をし、「よく立ち直ったねぇ」という先輩タレントの言葉を引き出しています。これを称して「負け犬商法」と呼びたいわけで、商品の価値というのは、そのハンデを乗り越えたことには関係ないのに、敢えてハンデを見せれば、愚民はその商品に下駄をはかせて評価するということです。

そして、人の心の移ろいは非常なものであることも考えたいところです。阪神淡路大震災で被災された方々、オウム真理教事件で被害に遭われた方々、9.11テロで身内を亡くされた方々が身近におられたとしても、実は我々は何処吹く風で生きているのです。本当にハンデを抱えている人達は、実はそのハンデを曝け出すことも躊躇し、苦労して生きておられる場合がほとんどであり、それを商品化するのは決して良いことではなく、また、たまたま目の当たりにしたその「負け犬商法」に乗せられ、すぐに忘れてしまう事も愚民の行動様式であることに気付いていただきたいものです。