お風呂に入りたい

仕事場から徒歩五分のところにこのところ報道にもちらほら顔を出す被災者のための避難所があります。また、私が所属する埼玉中小企業家同友会の事務局がある建物に埼玉県ビジネス交流プラザがあり、こちらも避難所となっております。偽善者と呼ぶ方は勝手に呼んで下されば結構ですが、週末にこれらの施設を廻り、対策本部の方々や、避難民の方々とお会いしてきました。

多くの方々が福島県方面の原発疎開地域から来られています。我が埼玉県民は心温かい人間が多く、物資も概ね足りている様子ですし、ボランティアの人員もそれなりに足りています。ただ、当然のことですが、これだけの人がいると、その「仕切り」がちゃんとできないので、人々も右往左往しますし、情報も乱雑に飛び交っています。酷な言い方をすれば、これも我が国民が平和ボケ、文明ボケにより、「慣れていなかった」というのが最大要因でしょう。

そのような中で、一番足りないものは何かというと、何よりもお風呂に入りたいとのことです。近隣のスーパー銭湯やスポーツ施設がそれなりに無料で解放しているのですが、そのキャパシティの5倍以上の避難民がいます。そこで、それぞれの避難所から近いところに住んでいる同友会の会員が自宅のお風呂を使ってくれと申し出ました。数百世帯の避難民がいる中、所詮、一会員の家では2〜3世帯分しか面倒を見られませんが、それでもいくらかのお役に立ったはずです。4日ぶりにお風呂に入った方の満足そうな顔は本当に素敵なものでした。

私達にできることは、募金も善し、汗をかくボランティアも善し、物資の供与も善し。しかし、この「お風呂」に関しては「うちは、ちょっと・・・勘弁してください」という人が多いようです。この駄文をお読みの方で、近隣に避難所のある方、もし、その気持ちがあったら、たとえ一日一家族でも良いですから、ご自宅のお風呂を使わせてあげてください。