野球部は何よりも偉い?〜とある私立高校の不思議

この季節になると市民体育大会が真っ盛りです。更に、県レベル、国レベルでも多くの大会が開催され、新聞紙面を賑わせています。市の柔道連盟の役員をやっている私も11月3日の祝日には、市民柔道大会の役員として、大会運営やら審判員やらに一日を費やしました。年々参加者が減少傾向にあるとはいえ、小学生から一般に至るまで多くの参加者で盛大な大会でした。

大変な違和感があったのは、高校生の部で、市内の私立高校の選手が全員棄権したことです。この高校はその四十年くらいの歴史の中で甲子園に十数回出場し、全国ベスト4に何度かなった野球の名門校です。伝え聞いたところ、その日は秋の関東大会に野球部が出場しており、「全校応援」のために棄権となったとのことでした。「市民大会」と「関東大会」では「格」は当然雲泥の差ですが、何故、応援のために自分達の大会を棄権するのだろうと聞くと、正式な学校行事で、仮にこちらの大会に出場し、応援に行かないと欠席扱いになるのだそうです。後で知ったことですが、この日は決勝ならまだしも、準々決勝だったそうです。

つまり、その高校では、自らが所属する部活動の「大会」に出なくても、「野球」の応援には行かなくてはいけないということですね。確かに野球部というのは、サッカーブームがくるまでは・・・埼玉県ではそもそもサッカーのほうが盛んだったので、それほどでもなかったと記憶しておりますが・・・部活動の花形のようなところはありますが、その高校の決まりで言えば、「野球部に非ずんば人に非ず」のような印象を受けます。仮に他のスポーツでインターハイ、国体等に出場する選手がいても野球の試合が優先するのでしょうか。

実は、私の子供達は高校受験に際し、この高校をいわゆるスベリドメとしておりました。2人とも第一志望に進学し、この高校へ行かずに済んだので今となってはどうでも良いことですが、中学時代、蹴球部と排球部でそれなりに活躍し、高校進学後もそのまま部活動に専心できた我が子等は幸せだと感じると共に、「人に非ず」の扱いを受けつつ学費を払わされる親の立場にならずに済んだことに感謝するしかありません。