できちゃった結婚

「秋には孫ができちまうことになったよ」と高校時代の同級生(私は男子校出身なので、当然男です)がボソッと呟きました。50代前半ですので、特に不思議は無いのですが、お嬢さんは未婚で21歳。まあ、世のお父さんと同じで、彼は自分の娘にカレシがいた事も気がついていなかった様子ですが、そのカレシも社会人1年生とやらで、いろいろ相談した結果、まずは籍を入れることになったそうです。世間で言う「できちゃった結婚」或いは「おめでた婚」というヤツですね。結婚が遅かったので、未だに二人の子供が高校生である私からすると、孫ができることには少々羨ましいと思いつつも、「最近のワカイモノは・・・」という気持ちも大きいものです。

30年以上前からこの「できちゃった結婚」は存在していましたが、最近では、実に良く耳にする話になりました。世間の常識とでもいうものが変わってきたのか、私の若い頃は大変恥ずかしいことであり、できる限り隠していたような話ですが、最近では、「カノジョが妊娠したので結婚します」なんぞと若い後輩に堂々と言われてびっくりしたことも何度かあります。子孫を残す行為と法的な婚姻とはリンクしているとはいえ、順番は気にならない時代が来たのでしょう。

ただ、当然、私世代に違和感がある「できちゃった結婚」ですから、多分、結婚適齢期の方々の親はこの件に関しては不満が多いでしょう。とはいえ、同世代の方々に聞くと、どうにも自分の子供達が未だに「子供」としてしかとらえておらず、「結婚するなどもってのほか」といった態度を見せるお父さん達が大多数です。と、言うことは、親に対して「結婚する」と宣言する面倒くささを如何にして省くかを考えると、「子供ができたので・・」というのは親も「仕方ないな」となる場合が多いから・・・ということは往々にしてありそうです。

更には昨今の煮えきらない草食系男子は「結婚しよう!」と言えないので、女性の側としては、何らかの手段で上手に妊娠し、その男達に決心させる・・・などというのも、あながち有り得ない話ではありますまい。男はバカですから、カノジョがそう言うと、急に責任感が強くなるものです。こういったことを妄想していると、実は世間で言うところの「できちゃった結婚」というのは、実は「作っちゃった結婚」なのではないか・・・と思えてきました。ある日、我が子等が「子供ができた」と言ってくる日と、「結婚する」と言ってくる日のどちらが先にやってくるのだろう・・・と思いつつ、父親以上に遊び人風のセガレには、「女には気をつけろ」と、親の欲目で美人の娘には妻を介して「妊娠したら女の方が格段に困るんだぞ」と言っている気の弱いお父さんでした。