そんなに不景気が楽しいですか?

今、世の中は不景気なのだそうです。キリスト教徒でもない方々の家に無駄なイルミネーションが灯り、大型ショッピングモールになかなか入れない人たちが渋滞の列を作り、年末年始に海外旅行に出かける方が何十万人もいるわが国のどこが不景気なのかさっぱりわかりません。私から見れば「ウチは貧乏だから」と仰る方の家に液晶テレビや食器洗い機等が置いてあることが不思議でならないので、不景気というのはメディアが作り出した妄想に過ぎないとしか言いようがありません。何しろ、国家公務員の冬の賞与は平均70万円、一部上場企業では90万円だそうですから、自称貧乏人の方でもそれなりの所得があるはず。十数年、賞与なんぞというものに縁の無い生活をしており、地デジも食洗機もありませんが、我が家では不景気だとは感じません。つまりは鈍感なのかもしれませんが。

さて、そんな中、大企業による派遣労働者の解雇が多々あり、国民の多くが年を越せないとメディアが騒ぎ立てております。既に数百万人のいわゆる「失業者」が我が国にはいるはずですが、その方々のことは一切お構いなしの中、今まで所得があり、それが突然奪われるということで脚光を浴びている一部の人たちがいるようです。全ての方がそうだとは言いませんが、派遣労働者の多くが「そんなに縛られたくないから正社員にならずに派遣を選ぶ」というのがここ十年ほどの実態だったはずなのに、正社員として、それなりの責任と不自由を架せられた人達に対しては随分と無礼な報道内容だと思います。あくまでも全ての派遣労働者がそのような無責任とは言いませんが、実態はかなりの比率で利己主義且つ他人任せの人が多いと感じます。

暴言であることは承知の上ですが、私は実体験として、正社員も派遣も相当数の面接をやってきたのでその経験から感じているのです。派遣の面接をする際、「正社員として働く気は無いのですか?」と問うと、かなりの比率で「そこまで縛られたくない」という反応を示す人が多くいました。まあ、サンプル数としてはさほどのものではないし、私如きの担当する面接に来るような応募者なのだから世間の標準よりよほどレベルが低いのだという考え方があっても良いかもしれませんが、それにしても、モチベーションの平均値で言えば正規雇用を求めている人の方が派遣で働こうとしている人よりは「本気度」が高いのは真実であろうと想像できます。

既に二十年近く経過しますが、私は、バブルがはじけた頃に自らの意思で会社を辞め起業しました。豪邸に暮らしベンツに乗ることを夢見ておりましたが、未だに借家暮らしで国産5ナンバーに乗っています。起業して半年で大きな額の不渡りを喰らいました。銀行に貸し剥しをされたこともあります。子供にゲーム機を買ってやることもできず、塾に通わせることもできず--それでも幸せな生活をしています。「カイシャが何もしてくれない」とか「セイフは何をやっている」と無駄に咆えている人たちに一言申し上げます。自分の食い扶持は自分で手に入れる。ネットカフェ難民でも路上生活者でもそうやって生きているんですよ。ちゃんと汗をかけば生活費くらいはどうにかなりますよ。人のせいにするのはやめて、「犯罪でなければどんなことでもやる」という気概を持って--さあ、嘆いたり咆えたりはやめて、汗をかく仕事を探しましょう!