紅葉マーク(或いは落ち葉マーク)の増殖

道路交通法の改正に伴い、シートベルトの後部座席着用とともに、高齢者の方々の「紅葉マーク」なるものの掲示も義務化されました。それから一ヶ月少々、路上には紅葉マークなるものを貼った車が増殖しております。流石に人生を長く生きておられる先達の方々は法令遵守という精神がしっかりしておられるようで、その件に関しては、実に(皮肉ではなく)すばらしいことであると感じております。

私が自動車の運転免許を取得したのは確か昭和50年代の前半でした。(その後「うっかり失効」なんぞということをやってしまったがために、今の免許証には平成11年取得と書かれております。)最初に免許を取得した頃、大先輩方の運転手さんもお見かけしましたが、75歳で運転をされている方など皆無に等しかったのではないかと記憶しております。また、当時70代であったであろう祖母や近隣の方々は自動車運転免許など所持しておられず、よく私が運転手を務めたものです。

それから30年余の時が流れたということは、当時、40代後半以上であった方々は皆「紅葉マーク」の対象となっているわけです。その方々が、30年前に、「年配者は運転が危うい」などといったことを考えたことが全く無かったなどというはずはありえません。単に、自分がその対象となった今日、その発言に対して「無礼である]と感じているだけです。そして、今まで「紅葉マークの掲示」が任意であったときには自らが危うい運転をしている可能性があることを否定し、掲示せずに来た方が多かったのです。まあ、誰もがわざわざ「私は75歳を超えています」と誇示したいなどとは考えないでしょうから、仕方の無いことですが、多分、この掲示の義務化により、多少なりとも事故の減少には繋がることでしょう。

今日、紅葉マークの運転手さん達に敢えて申し上げたいのは、貴兄等が決して危険運転をしているとは申し上げたくは無いが、気がつかずに危険運転をしている可能性があることに気がつくだけの分別を持ち合わせてくださいということです。50歳を超え、ちょっとした記憶力の衰えや、視力の低下を感じている私がここにいます。更に25年経過したらさぞかし動きも鈍くなるだろうという想像ができる年齢になりましたので、敢えてそこまでの言葉を吐いてみたい気持ちです。「若さ」を誇示しようとしたところで、トシヨリは所詮トシヨリ。そんなことで無駄な事故を起こし、老い先短い貴兄等が命を落とすだけならまだしも、これからの我が国を背負っていくはずの若い者の命を奪う危険性はできる限り避けるべきでしょう。現役世代でも同じことでしょうが、自動車による不必要な外出は避け、もっと長生きしていただきたいと心より願う次第です。