居酒屋タクシー

霞ヶ関の方々が深夜タクシーで帰宅する際、乗務員が飲料他を提供したことが問題視されています。そして、その名も「居酒屋タクシー」・・・今年の流行語大賞にノミネートされることは必至でしょう。そうなったら誰が呼ばれるのか考えてみましたが、やはりここは、タクシー協会の役員の方では面白味に欠けますし、大臣や議員さんではありきたりですから、この際、一番その利用者数が多かったとされる財務省事務次官というのが最高の選択だろうなどと仲間内で笑いの種にしております。

メディアの方、或いはコピーライターの方は「居酒屋タクシー」とは国民の心に訴える見事なネーミングを考えたものだと思いましたが、実はこの言葉、本質を突いていないことに皆さんはお気づきでしょうか?メディアが「居酒屋タクシー」という表現をしている中での問題点は「居酒屋」の部分は微々たる物。それよりも大きいのは公共の交通機関を使用せず、無駄にタクシーを利用したことが金銭的に最大の問題点ではないでしょうか。そして、金品の授受という観点からは、たかが缶ビールの1本2本の話よりも、商品券であるとか現金であるとかの受け渡しがあったことではないでしょうか。それらの一連の問題を「居酒屋」という表現で和らげてしまったのがメディアの大失策のような気がします。

まず、霞ヶ関の方々が、敢えてタクシーという贅沢な帰宅方法を安易に使いすぎ、それが税金から支払われていることに罪の意識を持っていなかった・・・やはりこれが、金額的にもモラル的にも最大の問題点です。不可抗力での深夜帰宅は仕方ないとは思います。然し、自分の財布が傷まないからという理由だけで、税金を無駄遣いするのは自粛すべきなのがこの問題の唯一無二の解決方法です。

そして、タクシー会社側の態度についてですが、ビールやつまみに関してとやかく言う立派な評論家の大先生に申し上げたいのは、サービス業とはそういうプラスアルファで顧客獲得に日夜努力しているんですよということです。仮に皆さんがどこぞの会社に伺ったとき、お茶なりコーヒーなりが出てくるでしょう。このビールやつまみのレベルはその延長線上でしかなく、決して贈賄ととるべきでは無いと思います。当然、現金や商品券はいけません。とはいえ、相当緩く考えると、それもまた事業者としての接待の範疇ではないでしょうか。つまり、この問題は「税金の無駄遣い」「過剰な金品の授受(金券等)」「ビール・つまみ等の軽い接待行為」の3つの事象をひとくくりにし、一番軽いもの-つまり問題にならないものを冠に使っている愚行です。糾弾すべきは何よりも税金の無駄遣い。ビールくらい飲んだって良いではないですか。それが許せないと仰る御仁は大嘘つきです。お中元もお歳暮も、年賀状すらも全くもらっていない方にくらいしかこのビール部分を糾弾する資格は無いと思います。