ガソリン行列

よりによって4月30日午後11時過ぎ、私は会合の帰り道、通称「産業道路」を走っておりました。多分その日、そして、その翌日もあちこちで報道されていたとおり、深夜営業のガソリンスタンドがあるたびに、そこには行列ができているという悲しい現実を目の当たりにしてしまいました。つまりはその辺は渋滞しており、通常、その時間帯であれば、20分程度で帰宅できるコースを45分ほどかけて自宅にたどり着くという貴重な体験と不快感の塊を味わいました。

5月1日も同様でしたが、その一ヶ月前の3月31日、どこのガソリンスタンドも閑古鳥が啼いておりました。そして、4月1日から値下げをしたスタンドあり、その様子を見て仕方なく値下げをしたスタンドあり・・・報道でも一部では言われておりましたが、高く仕入れた商品を安く売るという理不尽を突きつけられたのが4月第一週のガソリンスタンドの実情であったはずです。そこらの愚民には理解できない数式ですが、それなりに数学に長けた人間ならここで、日本中のガソリンスタンド経営者が蒙った損失額は想像できるはずです。ちなみに、そこらの愚民(更に共産党支持とのたまう方)と話をしたところ、「5月1日以降、ガソリンスタンドは1リッターあたり30円も余計に利益がでるから良いではないか・・・」とか仰せでしたが、まあ、これは愚者の戯言として度外視いたします。

ガソリンスタンド経営者の悲哀は相当なものとしても、それに引き換え、経済的損失は、その行列による渋滞、そして失われた時間という意味で多大です。ゲッキュウトリにとっては時間は無料の商品なのでしょうか?それにしても、空に近い状態でガソリンスタンドに赴いたのならまだしも、たかだか10リッターのガソリンをその日に入れ、ギリギリで満タンにするために1時間並んで「節約した!」と自慢げに語る姿は本当にばかばかしい。10リッターでは、たかだか300円の節約に過ぎず、仮に50リッターでも1500円にしかならない。そのための1時間とは・・・つまりは、時間単価1500円以下の方々がお並びになっておられたと、こう考える以外に無さそうです。ちなみに、時間単価1500円というのは、その他の経費等を含めて換算していくと、概ね年収150万円くらいの方を指します。(あくまでも「時給」ではなく「時間単価」ですが)なるほど、我が国にはそんなに年収150万円の人が多くいたのか。それでは確かに景気が悪いというのも本当だな・・・と変に納得させられました。

では、それ以上に所得があり、且つ、本来の時間単価設定を1万円程度で計算している私の場合、先ほどの帰宅時における25分はいくらか?と問えば、4500円くらいの損害を蒙ったことになります。このような人々が4月の月末数日間で相当数いたと仮定すると、「自称」所得が低いという方々がハシタ金のために行列を作ってくださったおかげで日本経済に多大な損害を与えたというこれまた愚民にはわからないであろう数式が作れそうです。一番苦しい思いをするのはそのひと時の500円や1000円で一喜一憂している人達ではなく、ガソリンスタンドの人々と、実際に流通に関わる仕事をしている人々なんだ・・・そして、それほどではないにせよ、見えないところでその渋滞に巻き込まれて時間を浪費させられた人々なんだ・・・ということも考えつつ、行列を作った愚行を反省する人が一人でもいてくれればありがたいと思う次第です。例によってわかる人にしかわからないでしょうが。