そんなに桜が好きですか?

桜の便りが聞かれる季節となりました。風流を解さない無粋者には、放送時間や紙面を埋めるためにメディアが利用しているだけだろうと思うのですが、まあ、時候の挨拶としては使えるものなので結構なことです。仕事場の近くが武蔵の国一の宮の参道ですので、公園には立派な巨木が数本、そして、月並みの「桜並木」のようなものがあり、再来週くらいにはその辺にレジャーシートを敷いて花見に興じる人々の姿が見られるようになるのでしょう。

その桜に多くの人が踊らされております。ここ数年、流行り歌を歌う若者がその由来も考えず歌詞や曲名に桜を使うと当たるとか、桜の開花予想マップのようなものがそこそこの価格で販売されているとか、まさに「桜ビジネス」が満開です。桜の花は確かに心和ませるものであると無粋者の私でも多少は感じておりますが、それにしてもよくもまあそういう粋な心を商売に繋げてしまうものだと辟易いたしております。

桜のことばかりがこうもクローズアップされると、どうしても反発してしまうのがヘソマガリの本領。「花見に行こう」なんぞと誘われようものなら、「何の花ですか?」と素っ頓狂なことを言い、敢えて梅を見るとか、更に進んだ時期に遅咲きの八重桜や、チューリップでも楽しめますよと顰蹙を買うのが私の応え方です。花は桜と決まっているわけではないのに・・・我が国では昔から右へ習えの風潮があり、桜でなければ花ではない、野球でなければスポーツではない、そして、巨人でなければ野球ではない・・・といった画一性がはびこっておりました。昨今では多少その融通が利くようになり、スポーツではサッカーも認められ、野球では12球団の帽子が全て街を闊歩できる時代になったようです。これは少年時代に埼玉県ではまず見られない中日ドラゴンズの帽子をかぶっていたことからのトラウマでしょうが・・・閑話休題

そういうわけで、ヘソマガリとしては日頃風流だの粋だのを理解できていないバカどもが桜だ!桜だ!と騒ぎ立てる姿がたまらなく不愉快なわけです。実は正月もバレンタインデーも全て同じなのかもしれませんが、桜が好きならせめて桜の根のそばに足を踏み入れるのだけはやめていただきたい。実は桜の木はそんなに丈夫ではありませんから根元のあたりを踏まれると弱ってしまうのだそうです。あくまでも知人から聞いた話の受け売りですが、本当に桜を愛でるのであれば、もう少し気を遣いましょうというのが本日の提案でした。