誰某の子孫

今の我が国の首相は母方の祖父に昭和の大総理、父親は一流の外務大臣で・・・などと、サラブレッドさながらの「血統」が取り沙汰されております。また、数年前からフィギュアスケート織田信長の子孫であるという選手が脚光を浴びていたようです。時々、ラジオからは菅原道真の子孫だとか言う歌い手さんの声が聴こえてくるときがあります。

私自身、祖父が浦和の名士であった様子で、何かと「あの先生のお孫さんですか?」と、幼少の頃から言われておりました。反主流派であることをこよなく愛した私の父は「勘当されてますから」といった受け答えをしておりましたが、私は常に「確かに25%はその血統ですが、残りの75%はどこの馬の骨かわかりませんので」と答えております。そもそも私が生まれる5年前にこの世を去った祖父のことでとやかく言われても困りますので。ただ、この程度の「家系」であればさほど問題は無いのでしょうが、特にその織田信長だとか菅原道真だとかを取り沙汰されると大変なんだろうな・・・と思えてなりません。

確かに安倍首相に関して言えば、前述の通り、競走馬の理論で言えばその資質の大きな要因である、「父」と「母の父」というものは多大な影響力があるでしょうし、私の言うパーセンテージでもそこに占めるのは75%という、言わば民主主義での絶対多数に近い数値が見えますので、それを否定することはできないことでしょう。

そこで、その織田信長の子孫とやらを分析してみますと−確か17代目の子孫とか言っていたと思いますので−よしんば本当に子孫であったとしても、65536分の1、即ち0.0015%のDNAしか相続していないはずです。何故か、そういう微々たる部分でも、私たちは不思議とロマンを感じてしまい、勝手に「へぇ〜」と言ってしまうようにいつのまにか教育されているようです。そんな計算をしてみたら、意外と身近にいる人は皆親戚なんだろうな・・・と考え、むしろ幸せな気分になってしまいました。