ヒーローなんていない

世の中には凄い人がたくさんいるようです。多くの人がヒーローに憧れるようで、とにかく「○○さんがいなかったら△△はありえなかった」という話は毎日のように聞かされます。しかし、本当にそうなのでしょうか?

「あなたがいなかったらこのプロジェクトはありえなかった」というものはまずありえないというのが私の見解です。どのようなことを為すにあたっても、たった一人の力で行なわれるわけではなく、多くの人々が参画することで、それが成り立つわけで、一人の力でできることなどというのはタカが知れていると思います。あくまでも賛辞として使用されていたその表現を世の中の人たちが乱発しすぎるので、気がついたら本当にたった一人の力で何かが行なわれたような錯覚に陥っているのでしょう。

例えば、ヒットラーがいなかったら第二次世界大戦は発生しなかったか?という愚問を提示してみれば、きっと、それ以外の要素が多々あり、結局は戦争になったのであろうと私は考えます。徳川家康がいなかったら戦国時代が終わり、それなりの安寧な時代が来なかったのか?と問うても同様であろうと思います。今、まさに東国原氏が宮崎県知事となり、無理矢理ヒーローにまつりあげているようですが、彼一人の力で県政がどうなるわけではなく、議会と行政がそれなりに機能してはじめて物事が形になっていくはずです。

あまり良い例が思い浮かばなかったので残念ですが、とにかく、誰か一人がヒーローで、その人の力だけで何かが良くなるという他力本願の考え方をどうにも持ってしまいがちな昨今の社会情勢ですが、それは見事に反映されているのが実は投票率の低下と政治不信のネガティブなスパイラル現象であろうというのは深読みしすぎだと誰かに叱られそうです。