貴方の若い頃はそんなに大変だったのか?

私が好んで引き合いに出す「年寄りの好きな言葉」に「今時の若い者は」と「俺の若い頃は」があります。当然、私も今時の若い方々から見れば年寄りの部類ですから同様な表現を多々使用していることは否めません。そのような中、「俺の若い頃は大変だった」という話は耳にタコができるほど聞かされますし、多分、私も言っていると思いますが、本当にそうだったのでしょうか?

若い頃、確かに今と比較すれば理不尽な扱いがありました。体質的に酒が呑めない私に対し、「オレの杯が受けられぬか」と飲酒を強要され、結果救急車で運ばれるに至ったことがありましたし、営業先で、バケツで水を浴びせられたという経験もありますが、そういう話をすれば、今時の若い人には「ありえねぇ〜!」と言われるのが関の山であろうと思われます。そういった理不尽は世の中の進化とともに少しづつ改善され、昨今では酒が呑めないと言えば許してもらえますし、バケツで水をかけるなどの野蛮な行為はほぼなくなったでしょう。

このような例を出すと、「そんなのまだたいしたことは無い」と言ってしまうのがこれまた年寄りの傾向で、当然、私より上の世代の方にかかれば「オレの若い頃は『もっと』大変だった」というお話が聞けることでしょう。しかし、多くの例が、今の時代に理解できる「大変」では無く、むしろ虚しい絵空事に聞こえてしまうのが殆どでしょう。

自分自身を振り返りつつこの「オレの若い頃は大変だった」という話の根幹を考えてみますと、単にこれは「古き良き時代の思い出」でしかなく、また、大変だったことは、自らのレベルアップのための糧となってきたことでしか無いと思えます。むしろそのような「大変」を経験できない「今時の若い者」は気の毒で、温室の中でぬくぬくと育って、苦労をしていないから結果、難事に直面したときに対応力が無い・・・いや、全く、「今時の若い人達はこれからが大変ですね」としか言いようがありません。