香典貧乏やら香典債権やら

ここ数ヶ月、ほぼ週1回のペースで弔事が続きました。更に、午前中に告別式に参列し、その日の夜は別の通夜式に参列したというのが1回、そして、なんと同じ斎場で11時と12時の告別式に参列したというのが1回ありました。全く笑えない笑い話です。十数回の「黒ネクタイ」のうち、数回は受付等の御手伝いをいたしましたし、また、「連絡係」として、この訃報を多くの方々に伝えることも多くありました。仲間内では「お前は葬儀屋か?」といわれるほどに葬儀の仕切り方を知るようになっており、また、あちこちに連絡している都合上、「香典を立て替えておいてほしい」というのも良くある話です。

個々の葬儀はそれで良い(もっとも人が亡くなっているわけですから良いというものではありませんが)として、こう何度も続くとふと気がつけば香典貧乏と化しています。思えば単に香典を包むだけではなく生花、花環の類を供したものも数回あり、この数ヶ月で20万円ほどの出費がありました。こうなると人脈が太いのも考え物ですが、若い頃より葬儀には何をさしおいても参列するという美学を踏襲している以上仕方ありません。

それにもまして大変なのが「香典債権」であります。前述のように「立て替えておいてほしい」と言われて断るわけにもいかず、毎々いくつかの不祝儀袋を持参し、受付で不幸にも後ろに並んでしまった方に顰蹙を買いつつ何人分もの記帳をする作業もなかなかなものです。そして、受け取った香典返しをいつまでも預かっているわけにも行かず、結局宅配便などで依頼主にお送りするのですが、悪意ではないとはいえそのうちの一部は回収不能に陥ってしまう場合すらあります。ただでさえも立て替えている金額たるやバカにできない上に、不祝儀袋も微々たる金額とはいえ無料ではなく、この数ヶ月で100枚を越す購入量でした。

ここ数ヶ月は私としても異常事態に近かったのですが、このようなめにあっている自分が他人に香典を託ける際には、必ず「プラス千円」をお渡ししております。不祝儀袋はせいぜい百円かも知れませんが、その手間たるや、千円でも安いものであることを理解しているからこそであります。いろいろとご異見もございましょうが、「頼まれる側」であることが多い立場としては、皆様にもそのような気配りをしていただきたいと感じるところであります。