近頃の若い者は・・・

エジプトだかどこかの古代史跡にその時代の文字で「近頃の若い者は・・・」といった意味の言葉が書かれていたとかいう都市伝説のような本当のようなお話があります。実はそれが真実かどうか調べようという気力が無いのでそういう表現をしておりますが、確かに「さもありなん」といったところです。

三十代も後半になる頃、自らがその言葉を発していることに気がつきました。それ以前にもそう言っていたのでしょうが気がつかなかったのでしょう。むしろそう言われることの方が多く、その都度「ウルセェナァ・・・」と感じていたと思います。そしてまた、そう言う人達も「オレも若い頃には言われたことがある」と大抵認めておられました。結局は、「近頃の若い者」なるものが何か悪いわけではなく、自分が「若い者」として生きていた時代と様々な価値観や行動様式の違いを自ら確認する儀式的な用語なのかな?という気がしてなりません。

五十歳間近ともなるとそれこそ一日に一回はその言葉を発しているような気がします。それだけ若者と生活文化がかけ離れてきた証であるということでしょう。ただ、通常「近頃の若い者は」の後には否定的、批判的な言葉が続きそうなものですが、最近の私は「近頃の若い者はたいしたもんだ」と思うことが多々あります。二十歳の若者が何かをしている姿を見たときに、自分が二十歳の時に同じような行動に出られたかどうかを考えると決してそこまで成熟したものの考え方ができていたとは思えません。また、知識においても全般にその年齢における所有量が相対的には増えているような気がしてなりません。

ただ、残念なのは、机上の知識は増えているにも関わらず、「人間力」という見地からはやはり否定的、批判的な「後句」をつけたくなる行動が目立つことも否めません。近頃の若い者は「やってはいけないこと」を敢えてやってしまい、それがやってはいけないことだという認識を無理矢理自分の意識下で否定し、「やりたいこと」には周囲の迷惑を考えずやってしまう傾向が強いと感じております。具体例は出しません。なぜならば、所詮私は半端な世代、中年であり、偉そうに「答えは自分で見つけろ」などと言える立場であると錯覚しているからです。