外国旅行は何のために?

私が最後に外国へ行ったのは8年ほど前です。そもそも、あんな鉄の塊が空を飛ぶわけが無いと未だに半信半疑でいる人種ですから、外国に行きたいという欲求どころか、仮に鹿児島県に出張しなくてはならなくなっても電車を乗り継いで行こうと考えてしまうので、「お気の毒に・・・」とは思っていただきたくありません。

交換留学生として1年間、駐在員として5年間を海外で過ごし、そして、独立後も、5年間は毎月行ったり来たりの生活をしておりましたから、実は人生の2割は海外で生活してきたので実は「もう充分」といったところもあります。そんな私が気に障るのはちょっとばかり海外へ旅行に行き「○○という国は・・」とまるで全てを理解したかのように語るバカであるという話は以前にも書きました。

先日も、約2週間、欧州諸国を旅行してきた方が、「ドイツには3日間しかいなかったが、あの国の人は皆親切で・・・」と何かの会合で挨拶をしていたので心の中で「このタワケ者がっ!」と叫んでいた次第です。然し、まあ、「見ないよりは見たほうが良いし、行かないよりは行ったほうが良い」というのは30年以上前に大好きな井上靖氏の講演で耳にして以来、結構気に入っている表現ですのでまあ善しと致しましょう。

ただ、結局、島国である我が国の国民はその海の向こうにあるこの世の果てを見てみたいと言う気持ちが先行するのか、本当に海外旅行が好きです。私は良く海外へ毎年行く方に「札幌の時計台は見ましたか?」「桜島は見ましたか?」と我が国の言わば「それなりにメジャーな観光地」をいくつか挙げて問いますが全てを見たと言う人にはついぞ遭遇したことがありません。そんな人達が海外旅行に行きたがる理由は単にパスポートにたくさんのスタンプを押してもらいそれを自慢するためだけではないかと思えてなりません。