高い声・7度和音・異色の経歴

私の仕事場では常にFM放送をかけっぱなしにしております。システム屋というものは無口で、我が社の従業員は朝「おはようございます。」と挨拶を交わすと、「ヒルメシどうしますか?」までほぼ一言も言葉が無いことも稀ではなく、また、それはそれで良いことですが、キーボードを叩く音だけではあまりに殺伐とした職場になりかねないので地域のFM放送をかけているというわけです。

FM放送ですからその多くは音楽で占められ、最近の流行歌に関しては50になろうというオッサンの割には実によく知っているようになります。同世代の連中は歌い手の名前、曲の名前を聞いても判らない場合が多いようですが、私はややもするとそこらの学生さんよりよく知っているのではないかと思うときがあります。然し、これらの流行り歌というものは実は時代の求める要素があり、タイトルのような条件が整っているものばかりであることも実は私が気がついてしまったことです。

まず、高い声ですが、この風潮は1980年頃から既にあるようで、自らの持てる高音域の限界に近いところが一番きれいに聴こえるもののようです。そのため、歌い手は皆競って高音域の曲を作っています。そして、7度和音ですが、元々の5度の和音よりどことなく神秘的に聴こえ、また、ちょっと高度に感じられるもののようです。そのためか2000年以降、必要以上に7度和音ばかりを散りばめた曲が流行るようになったようです。

最後に異色の経歴という表現をしましたが、ストリートミュージシャン出身、音大出身(在学)、薬剤師等等・・・実は異色でもなんでもないのですが、「何か違う」のような事実を殊更に表現すればそれだけで反体制主義者である者にうけるというところを狙ったようです。殆どの歌い手はこの3つの要素で大衆に媚びることだけをやっているのだと気がついてしまった私は実は素直に流行り歌を楽しめない不幸な人間です。