ホリエモンは本当に時代の寵児か?

最近では半ば冗談のように扱われる映画の宣伝文句で総制作費史上最大とか全米が泣いたとかとにかく誇張されたものがありますが、メディアというものは何故かニュースを伝えるのにそのような誇張表現を好んで使うようになってきています。表題の「時代の寵児」などというのはあくまでも一例ではありますが、最近では特に際立ったものでしたのでちょっと考えてみました。

主観を交えて物を言うのであれば、私はこの人物に好感を持っていません。私の仕事は、所謂IT業界に属しているので、あちこちで「ホリエと同じ人種」という評価をされます。「オマエも悪いことやっているんだろう」とまで言われます。私の答えはまず、ライブドアという会社のもともとの本業はIT業界であったが少なくともここ数年は本業が金融屋となっていること、そして、彼はIT業界に関わる行為で犯罪者とされた訳ではないことを理由に否定いたします。

少なくともプログラマーとしては相当に優秀であった彼はその実力を以って巨万の富を得、更にそれを投資してみようと考え球団の買収、メディアの買収、そして衆議院選の立候補などを試みたのでしょう。元々の実力で得た富は決して批判されるべきものではなく、また、それを投資しようということも決して悪ではありません。世の中には、たかがゲッキュウトリの分際で株式投資などに手を出している人々が多々いますが、桁の違いだけであり、ホリエと同じことをしているのですから彼等にホリエを批判する権限などありえません。確かに彼の行動により日本経済全体に影響が出たかもしれませんが、その事象は常に起こり得る株価の上下・・まさに「想定の範囲内」の出来事であるはずです。

メディアは彼の立場が凋落してから彼を「時代の寵児」と呼ぶようになったような気がします。ただし、彼は決して寵児と呼ばれるような愛される行動をとっていなかった人物ですし、彼をもてはやしたのも貶めたのも全てメディアです。むしろ彼は自らを過信しメディアに踊らされ墓穴を掘り、気がついた時には塀の中にいただけの身の程知らずです。時代に愛されたわけではなく、メディアに利用されただけの存在に過ぎません。メディアは常に視聴率を高めるための材料を必要としておりますから、そういう意味で彼の存在は視聴率を取れる素敵な材料であり、今でもその利用価値があるわけです。それに気づかず、メディアに噛み付いてしまったので今となっては貶められた「メディアの寵児」というのが彼の正体ではないでしょうか。イカサマ賭博でボロ儲けした人に同情はしませんが、利用するだけ利用しているメディアには大きな憤りを感じております。