クスリのリスク

薬という言葉は反対から読むとリスクになるんだよと教えてくれたのは私の父でした。中学校に行っている頃で、他にも道路がロードだとか石はストーンと落ちるとかいろいろと言葉遊びの中で英単語を覚えていた中でのことです。

先日、知人の葬儀に参列しました。享年45歳、何故、私より若い人が先に亡くなるのだろうと不合理に嘆くこともありましたが、生前、彼はいつも何種類かの薬を持参し、「これは血圧、これは糖尿病、これはナントカ・・・」と言いつつ飲んでいたと記憶しております。それにひきかえ、私は止瀉薬以外には全くといって良いほど縁が無く、40歳を過ぎてから仲間内で流行るはずの病気自慢の会話に参加できないほど薬剤に関して無知なのに、何故、たいした病気を抱えていたわけでもない彼があちこちで検査をし、健康管理に気を遣っていたのに早世したのかには大きな疑問を感じてしまいます。

とある漫談で「健康は命よりも大事なんです。健康のためなら死んでも良い。」と言っていましたが、世の中はまさにそんな状態です。サプリメントとかいう呼称で惑わしつつ、高額な商品を売りつける人も多くおり、また、そういう人達はほとんど新興宗教のように人を病気扱いし、これを飲まないと死ぬとまで言い切ります。先日も「オマエ、血圧高いだろう?」と言われ否定し、血糖値が高いだろうと言われまた否定し続いて尿酸値だナントカだカントカだと問われ・・・実際に問題がある数値がでていないので全て否定すると、「オマエどこか悪いんじゃないか?」と笑い話のようなことをそういうサプリ教信者に言われました。こちらは健康なんだから羨ましがっていただきたいものですし、自慢したいものですのに・・・

健康であることは確かに良いことです。多分、私のように異常なまでに健康でいる人間はどこかで落とし穴に遭遇するなどして、ある日突然死をするのかもしれませんが、少なくとも「オレは病気じゃないのか」と悩んで精神状態が悪くなっているご同輩を見ていると精神面でも肉体面でも健康である自分が神のような存在に思えてしまいます。確かに予防医学などが発達した今日、備えることは必要でしょうが、薬を飲まずに癒るものであれば飲まないほうがカラダに良いのではないか・・・我が家では未だに子供達も含め「風邪は根性で治す」という生き方を変えていません。