不愉快な喋り方

海外で長期間生活し、帰国した人や、時々帰国する人が身近にいると、普段気がつかない世の中の変化を知るチャンスが訪れます。私自身も30年程前、1年間の留学生活、その後、会社員となってから数年間の駐在員生活、そして、独立後の90年代後半は請け負った仕事の都合上、毎月米国と日本を行き来していた数年間がありましたので、彼等の言いたいこともよく理解できます。

駐在員時代にそのような気持ちになる、或いはそういう事象に気がつくことを「浦島現象」と仲間内では呼んでいました。つまり、浦島太郎が戻ってみたら世の中が変わっていたということで、まあ、それは浦島太郎さんの頃と比べれば情報も身近にあり、経過した時間もさほど大きなものではないのでその格差はたいした大きさではありません。そのような中、最近一時帰国した海外生活者の話で目立つのは「いつのまにか日本では自転車が平気で右側通行、無灯火、信号無視をするようになっていた」ということと、「日本人の日本語が妙に外国語もどきになっている」ということでした。

私もその両方が気になっておりましたが、特に後者の日本語の発音については最近、不必要に(つまり、気にしなければ良いのに気になってしまい)腹が立っております。80年代頃から、「ガイジンの喋る日本語」のような発音で歌う流行歌手が妙に人気が出て、その真似をすれば流行するとでも考えているのか皆が右へ習えとなってしまったことと、出来の悪い喋り手がブラウン管に登場しすぎていることに起因しているとは思いますが、流行歌手や芸人は大目に見るとしても、最近のアナウンサーやコメンテーターはその喋り方が耳障りな者が多すぎます。

気にしなければ良いと言われても、気になるものは仕方ありません。喋り方には何が正しいかというお手本も無いし、決まり事も無いので実は個々人の感じ方だけかもしれませんが、誰にも心地よい音と耳障りな音が存在していると思います。少なくとも私にはブラウン管を通して聴こえてくる某野党女性党首の「シ」を「シュ」と発音する喋り方には黒板に爪を立てられているような悪寒が走るものとして最悪なものと感じておりますし、いくらか軽いレベルでは多くの女性アナウンサー達がキンキン声でまくしたてるのはほとんど騒音公害と感じております。あくまでも感じ方における個人差の問題でしょうが情報を伝える上では格好をつけた喋り方ではなく正確に発音することを心掛けるべきでは無いかと・・・これもまた「人の振り見て我が振り直せ」の材料としております。