社長は何でも経費で落せる

世間の人はいろいろなことを先入観で判断いたしますが、表題の通り、社長は何でも経費で落せるから得であるとお考えの方は多いと思います。実際、私の場合、本社登記が自宅ですし、自宅の一部に仕事場としてのスペースがあり、帳票類、パソコン1台、そして、資材等が置かれていますから、家賃の一部(私は賃貸住宅で生活しています)を会社が負担しております。

・・・とそんな話をある地方公務員の方としていたのですが、話がかみ合わず、実に苦労をしました。そもそも、私と同い年のその地方公務員の昨年度の年収は私の年収より格段に多いということがわかってからの会話ですが、「オマエは何でも経費で落せるんだからいいじゃないか」と言われて、年甲斐も無くキレてしまったというのが本当のところです。それはとある居酒屋での会話でした。支払いをする段になって彼は他にも何人かいる中で、「社長は経費で落せるんだから頼むよ」と言い出したのです。

取引先との打合せであり、それ相当の売上が見込める場合であれば接待交際費という費用は認められるでしょう。ただの仲間が集まり、飲食をした代金を何のために私と我が社の従業員が汗水たらして稼いだ金で支払うことがありえるのでしょうか。必要性も整合性も感じられません。ところが、彼等の考え方では「社長=全てが経費=ご馳走様」という方程式が成立しているようです。口利きや談合が伴いませんから問題は無いとはいえ、この記事をどなたかがお読みになって、実名を挙げて摘発せよというお話をされても、私は絶対にその名前を挙げることはありませんが、仮に私が会社の経費で支払えば業務上横領でしょうし、同席した者は皆収賄となるではありませんか。まあ、この話はワリカンになりましたから「未遂」ですが。

どうも行政関係者の方々が理解していないと思われるのは経営者には「月給」なんぞというものが存在していないということです。大企業の社長さん達は確かに名目上経営者なんでしょうが、実はゲッキュウトリという人種で、株主さんに雇われているだけの存在です。私達、零細企業の社長さんは会社=自分であり、全ての責任を負っているので、「責任を取って辞職します」などということは無いのです。そういう私達が赤字だというと、「でも随分と高い給料取ってるんじゃないの?」などと下卑たことを言うヤツ!!!お前等とは絶対に友達になれないからな!!!というのは、赤字であるときは実入りがないのが零細企業の経営者だからなんです。霞を食って生きていけるわけではないので、昼夜も休日も考えず働いているのですが、それはあくまでも自分のためです。そう、ゲッキュウトリの皆さんがちょっとだけ上司の厭味に耐えていればもらえるものを自らの力で得るために・・・