労働力か寄付金か

地元で商売をやっているといろいろな会に参加することになります。自営業者は得てして孤独なものですので、そういうところで友達を作れるというメリットはありますが、あまりに種種雑多な会に参加してしまうと収集がつかなくなるというデメリットも存在しております。私などはいわゆる社長会のほか、同窓会の地域会、部活動のOB会、留学生団体、政治家の支援団体等にも加わっておりますので、本業は何だったのか?などと言いたくなるくらいに会合に出席しつつ、そういう義理事の為に商売をしているような妙な錯覚にとらわれます。

さて、営利団体である会社がその粗利益を人件費に振り分けるのは当然ですが、どういうわけかこのような親睦団体ではその雑務を担う人間の人件費が捻出できない場合が多々あります。当然、年会費なり寄付金なりで通信費、印刷費、諸雑費を賄っているわけですが、会員宛の案内状を発送するための封入封緘作業等は概ね事務局と呼ばれるボランティアによって行なわれたりします。そして彼等は何故かその労働力を無償提供している場合が多いと思われます。

自分が事務局といった立場になることが多いせいでしょうか、最近、その不合理に気がつきました。会合を行なうならその会場の手配をする、案内文等の印刷封入封緘作業をする、必要な資料を準備し帳合をする等々実は多くの時間をとられ、しかも問合せの対応も必要となり、時としてクレーム処理までがその無償労働に加えられます。ある会のそういった雑務に私自身の時間は毎月10時間程度費やされているので仮に時間給千円程度で換算したとしても毎月1万円分の貢献はしているのであろうと思われますが、不思議なことに私も同額の年会費を払っているのに一切そういう雑務をしない人から「オレは会費を払ってるんだからオマエがちゃんと働け」などと言われる始末です。

その労働力を金額換算したものとか年会費が惜しいわけではありませんが、やはり最低限欲しいのは「ご苦労様です」という言葉ですね。まあ、一部の人格者の方は事務局が集まって準備会をすると聞けばそっと私に1万円札を渡し、「皆でメシでも喰ってくれ」と仰ってくださいますし、定額の年会費だけでなく会の運営用の寄付金を上乗せして支払っている場合が多く見られます。概ね、文句を言うだけのヤカラは、何も労働せずに「会費が高い」なんぞと平気で言う奴等に多く見られます。無償の労働をしているのは絶対に損な役回りであるとは思いますが、文句だけ言って何もやらない奴と比較したら格段に充実した人生を歩んでいるなと自画自賛だけはできますので私は今後もその立場を続けることでしょう。