拉致被害者救出バッヂと偽善者

救う会全国協議会」という組織があります。北朝鮮に拉致された日本人を救出するための会です。世間でかなり認知されているので、その会が資金集めと意思表示のために販売しているブルーリボンバッヂをご存知の方は多いと思います。私も背広を着る日はこれを襟につけております。

それには理由があります。前述の資金集め、即ちカンパにはごく僅かの貢献度しかありませんが、藤田進さんという、直接は存じ上げませんでしたが私の高校の1年先輩が拉致被害者であるが故、その奪還の意思表示のために着用しております。仮にそれが大きな意味を為さなくとも、誰かに問われればその話ができるだけでもプラス要素になれば良いと考えております。そんな軽いレベルでの話では、本当の拉致被害者のご家族にとっては協力のうちに入らないとは思いますが、全くのゼロではなく、ごく僅かでもプラスになってくれという気持ちは持っております。

ところが、このバッヂを着けているとその意味を知りつつ「何を格好つけているんだ」と堂々と仰る方が稀におられます。前述の通り、私にとっても拉致被害者の方はあまり近い存在ではありません。然し、彼等は私達と同じ国の人間であり、私にとってはほぼ同世代の人が大勢います。私に対して格好をつけていると仰る方に事情を説明しても、やはり、その程度の認識の方ですから「なにもそこまでしなくても」と申される。そして、私を偽善者だとまで申される。嘆かわしい次第です。尤も、人というものは何故か「偽悪者」を装うのが格好良いと考えがちで、敢えてそういうそぶりを見せているだけかもしれませんが。

決してそういう方々にバッヂを着用せよとか資金カンパせよとか申し上げたことはありません。何も協力しなくて結構です。ただ、そういうふうにネガティブな発言だけはしていただきたくない。我々の同朋が自らの意思とは関係なく連れ去られ何十年も故郷に帰ることなく異境の地で暮らしていることに思いを馳せ、帰って来て欲しいと望む心を忘れているようでは、日本人として以前に人間として、いや、生命体として恥ずかしいことであろうと思いますが。どこぞの団体が詐欺まがいに作り、若者のファッションセンスに訴えてボロ儲けしたといわれる何らかのアクセサリーもありますが、必要なのは気の持ちよう。物心両面からの援助という言葉があるのですから、仮にもその心の部分まで傷つけるようなことはやめていただきたい。大事なことは誰もが平和な幸せな世界にほんの小さな一歩でも貢献することではないでしょうか。