人に見せてはいけない行為

自宅から仕事場までが徒歩圏内、客先の殆どが市内という生活を送っているので、滅多に電車に乗る機会がありません。そんな私が先日、朝の通勤時間帯に大宮駅から新宿駅まで30分間の乗車体験をいたしました。毎日こういう電車に乗っていたのはかれこれ15年前までですので、その風景も記憶の彼方でしたが、私が「通勤者」であった時代より多少混雑も緩和されている様子で、また、人々の態度も押し合いへし合いの姿等、いくらか無味乾燥且つお行儀良くなっているのかな?などと感じました。

そんな中、昭和期には殆ど見られなかった光景を目の当たりにし、時代は変わったものだと痛感したのは、皆さん携帯電話のメールやら何やらに没頭していること。これはまあ想像がつく話でしたが、座席にかけている女性達が揃って化粧をしている姿には本当に驚かされました。そんなことは今では常識であり、私が浦島太郎なのでしょうが、果たしてそれは常識なのかと疑問に感じる次第です。

私より上の世代の女性は化粧なるものは決して人前でせず、すなわち、化ける前の顔で人前に出ることが無かったと記憶しております。いつの間にやら通勤途中というのは言わば誰も居ないところという認識が蔓延したのではないのでしょうか。他にも電車内の飲食やら愛の交換行為やら、昨今では「人前」の認識が変化しているのでしょう。そういう意味で車内が無味乾燥になったと感じたのかもしれません。

私の勝手な定義では、本能に関わることはできうる限り人前で行なってはいけないことです。排泄行為、性行為は当然、睡眠もその中には含まれます。飲食に関しましてはコミュニケーション手段のひとつではありますが、欧米的に考えると一緒に食事をする仲というのは相当な親近感を持っているもの同士においてのみ成り立つでしょう。動物は無防備な姿をさらけ出すような真似はしません。現代人、特に戦後生まれに始まり「イマドキのワカイモノ」に至る世代はそういった意味で、どんどん無防備になっていっております。女性の化粧という行為は元々オスを引き寄せるために行なう性行為の出発点にあるという発想は今では詭弁のようですが、事実なのだから仕方ない。まあ、無防備だから何らかの危険に晒されるかといえばそうでもないことですが・・・いずれにしても、見せないですむ行為は化粧のみならず出来る限り見せないようにしたいものです。