会社は誰のもの?

15年ほど前、度胸と印鑑だけを資本に会社を興し、今日まで資本金の全てを自分が株主として所有する経営者なるものをやっております。社長は気楽な稼業で平日ゴルフに行き美人の秘書を侍らせ飲食遊興を経費というもので落しているとお考えの方が多いようですが、実状はそんなことはなく、従業員の誰よりも早く事務所に来て掃き掃除、机拭きをし、コーヒーを入れ、朝から晩まで資金繰りと工程管理に胃をきりきりさせている毎日です。

そんな私が気になったのは今年の流行語「想定内」の生みの親である人物がM&Aというか乗っ取り紛いの行為に出た際のメディアの対応です。乗っ取られそうな(とメディアが見せかけているだけでもありましょうが)会社の従業員にマイクを突きつけインタビューをしている際に「会社は誰のものか?」という疑問が投げかけられていました。カイシャという実体の無い存在を事実上所有しているのはやはり株主さんであろうと私は確信しているのですが、どうやら世間の考え方は違っているようです。私と同じように自ら会社を興した経営者、二代目の経営者との付き合いは多くありますが、皆一様に同意してくれます。なぜならば、彼等は経営者であり且つ大株主或いは唯一の株主であるからです。

ところが企業が大きくなり株式が公開されたりすると「筆頭株主=経営者」の方程式が壊れるようで、私達から見ればそんな社長はただの従業員であり、「オレのカイシャ」なんぞと言って欲しくないものです。そしてそういうところの従業員はこれまた勘違いして、「会社は社員のものである」なんぞとたかが雇われ人のブンザイで偉そうな発言をしてしまいます。異論反論はあるでしょうが、会社の存続に関わる全ての責任と権限は「経営者」にあり、その経営者は筆頭株主でなければいけないのではないか・・・元々「大店」(おおだな)はそれほど無く、個人商店が数多存在していたわけで、資金調達や組織拡大の目的でふと気がつくと所在者不明の妖怪が出来上がってしまったに過ぎないと思うのは「昭和」の考え方、いや、もっと昔の考え方なのでしょうか?

譲れない話としては、責任と権限の所在でして、会社に関わる法律がどうであれ、私の会社は私のものであります。従業員は皆私が扶養すべき家族であり且つ私が所有するモノでもあります。そうある為に、私は誰よりも早く出社し掃除をし、休日夜間を厭わず働き、従業員に支払う給与のためには仮に自分の内臓を担保に入れてでも資金繰りをする・・・それができない奴やわからない奴には会社の所有者というステータスを与えてはいけないと思います。