携帯電話のご使用は・・・

私が携帯電話なるものを使用し始めたのは十数年前、6秒10円というとてつもなく高価な通話料がかかり、本体の大きさはまるで弁当箱の頃でした。度胸と印鑑だけを持って会社なるものを興してしまい、とはいえ、従業員がいるわけでもオフィスがあるわけでもなく、どうしても必要であったための選択でありました。然しながら世間的には相当にステータスが高いものでもあり、街角で、電車の中で、飲食店で・・・電話がかかってくると周りの人たちが「おぉ!」と言わんばかりに見ていたことを記憶しております。

時が流れ、今や小学生でもケータイなるものを持ち歩いております。携帯電話は電磁波を発するので脳細胞が破壊される等の都市伝説も今となっては消え去り、街角の其処此処で人々は電話を耳に当て歩きまわり、電車の中ではせっせとそのキーを叩いてメールなるものに興じているようです。文明の発達速度というのは特に20世紀末頃から急加速されているものだと痛感いたします。

そのような中、実際に問題が発生することもあるのでしょうが、電車の中で携帯電話を使用するとペースメーカー等の機器をご利用の方にはその不具合を誘発しかねないという見地から「ご利用はお控えください」という流れが今では当然の常識として通用するようになりました。電車の中で、或いは飲食店の中で「オマエの方が煩い」と言いたくなるくらいに「携帯電話のご使用はお控えください」とアナウンスされている昨今ですが、私は常にその姿勢に対して疑問を感じております。

確かに医療機器に問題を起こすかもしれない等の場合は問題視して構いませんが、それなら何故電車の中でメールを送受信している人々には何のお咎めも無いのか?そして、その会話が周りの人に迷惑であるというのならオバサン、女学生、酔っ払いのオッサンが群れをなして乗車しているときの騒がしさはどうなるのか・・・携帯電話の使用を禁止するのではなく会話を禁止すれば良いではないですか。「ご乗車のお客様は一切の発声をお控え下さいますようお願いいたします。」なんぞと車内アナウンスが流れたら皆さん、どう感じます?ここは専制独裁国家なのか?・・・とすら感じてしまいますが、実際、電車の中でも電話はかかってくるものです。まあ、皆さん、わざわざ携帯電話で大至急しなくてはならない会話をしているわけではないというところでしょうが、何故そんなに目くじらを立てて携帯電話の使用を否定するのか・・・前述の通り、通話料がとてつもなく高額であった時代から携帯電話を使用している私は、未だに1回の通話が30秒もかからないし、よほど緊急でなければ「あとでかけます」という対応をしておりますが、その姿勢に何かご不満でも???