孫を殺す老人達

子供を殺してしまう親がいたり親を殺してしまう子供がいたり、物騒なニュースが毎日のように舞い込んできます。昔から親の顔が見たいと言い、子は親の背を見て育ち、海より深い父母の恩を教えられてきた我が国で、このようなことが起こるのか・・・と驚愕したのは30年前。今では「またか。」で全てが片付いてしまいます。

それにひきかえ、高齢化と核家族化の進む中、もっと恐ろしいことが起こっているのにお気づきでしょうか?私より少し上の世代の方々はそろそろお子様達がご結婚され、お爺ちゃん、お婆ちゃんになる世代です。いろいろな会合でその世代の方々とお会いし、特に初孫を授かったばかりの方などとお話を致しますと、それはご機嫌なお顔をされ、「孫は可愛いねぇ・・・」と目を細められます。大変微笑ましい光景であります。私も近い将来、同じような気持ちになるのであろうと思いつつも未だ成人していない子供達が家庭を持ち「孫」と言う名の宝物を見ることはあまり想像できていません。

このお孫さんをお持ちの方々は一様に「孫のためならなんでもできる」といった態度を示します。乳飲み子のうちは未だ良いとしても、孫だって何年か経てば成長し、自我に目覚め、親に反発し始めるわけですが、昔のように3世代が同居していた時代なら教訓めいた物言いをしていたご老人達が無条件で孫を可愛がる・・・自らがそうであったことを思い出していただきたいのですが、子供というものは小利口な存在です。親には口煩く言われるのに、お爺ちゃん、お婆ちゃんが無条件で何でも言うことを聴いてくれることをよく知っています。そして時には口煩い両親に「いいじゃないか」で済ませてしまったり、度を過ぎた場合など、両親を否定し、小遣い銭を与えたり遊びに連れて行ったりいたします。

「近頃の若い者は・・・」と既に私が言う世代ではありますが、近頃のお年寄りは困ったもので、孫を甘やかし、孫に免疫が付かない様に無菌培養をしようとするので、そういう育ち方をした子供達は誰かが助けてくれる、責任を取らなくて良いという身勝手な人間に育っていきます。そういう子供達が人の痛みのわからない碌でもない大人になって行き、世の中の混迷を作り出す要因となっていることに誰も警鐘を鳴らさない・・・ご老人方に申し上げます。孫が可愛かったら江戸時代の先人達が仰ったとおりに育てましょう。「可愛くば、二つ叱って三つ誉め、五つ教えて善き人にせよ」今の皆様はどれもなさらずに「十甘やかし」だけで終っているんですよ。